2026年6月12日(金) に ブックセンターふらっと(衣笠キャンパス)にて、
『読書スタディーズ』(明石書店・2026年5月刊行)刊行記念トークイベントを実施しました。
著者の立命館大学政策科学部教授 桜井政成先生をお迎えし、ゲストとして立命館大学ミステリー研究会より3名の立命館生の方にもお越しいただきました。新刊の内容も踏まえながら「読書」について語らう週末のひとときとなりました。
.JPG)
「本を読んでいる」 とはどういうことか?
折に触れて「本を読まない学生―」といった記事や言説を見聞きすることがあります。
しかしそうした際に「本を読むこと」は何を以て測られているのでしょうか。
桜井先生は「社会人の方で1ヶ月あたり1冊のペースで読めていなかったりする場合も珍しくはないと思う、それもゼロ冊と同じとされてしまっていいのだろうか」 と問題提起します。調査・アンケートにおける設問が、たとえば1日・1週間・1ヶ月といった期間における「頻度(回数)」なのか「量(冊数)」なのか、どちらになるかによっても得られる「実態」に揺らぎは生じると指摘します。
ミステリー研究会の中小路伊織さん からは、「たとえば世論調査における政権の支持率というトピックでもメディアによって違いが出てきたりもしているが、「本を読んでいるか」も尋ね方1つで変わりうるということには頷くところがあった。」とコメントをいただきました。
また、本を読むことを通じ「読書家」としての意識を持つということの直感とは逆に、読書家としてのアイデンティティを持つことによって、本を読むようになるという側面もあるという観点は目から鱗でした。
読書コミュニティのあり方について
ミステリー研究会で代表をつとめる堀江祐成さん からは、新刊について「読書会を開くという立場から、読書コミュニティの意味というところが自分の中で印象に残った。」 と新刊について感想をいただきました。
他大学の団体とも合同読書会を実施することもあるそうですが、「○○と思った」というような感想を出し合うところから先に進める難しさだったり、課題本を設定してしまうと事前の宿題めいたところが出てくることだったりが気にかかるのだそうです。
その問題意識を受けて桜井先生からは、あらかじめ本を読むことを求めないシェアード・リーディングというイギリスなどにおける実践のご紹介をいただきました。単なるコミュニティ・集まりというだけでなく、セラピーの一環としても認知されている取り組みだそうです。
ほか、読書会を盛り上げるアイデアとして「その本に登場するお菓子などを提供する」というアイデアもオーディエンスの方から出てきて、登壇の皆さんの賛同を得ていました。
ミステリー本 の醍醐味とは?
「『本の没頭する要素』、というところで触れられていた内容が、自分の好きなミステリーというジャンルに重なると感じる点が多く。そうだったんだと腹落ちするところがあった」と新刊の感想を述べられたのはミステリー研究会の丸山理音 さん。
桜井先生からは、「読書家の方が長けているのは、本をチョイスする際に自分がどういう気持ちになりたいかという点で選べるということ。その点でミステリーを読みたくなるときというのは、どういう気分になることを意識しているのかミステリー研究会の皆さんにお伺いしたい。」
と問いかけがありました。
「読者に解かせるためのミステリーというジャンルもあり、小学生だった頃と今だと解けるレベルも上がってきていてそこが面白い。またその中にも米澤穂信さんの作品のようなお菓子や学校と絡めた人が死なない作品もある。」(堀江さん)、
「語弊はあるのだが(あくまでフィクションである前提で) 被害者が増えるとテンションが上がるところがある(笑)。ミステリー小説上では現実では起こりえないその作品世界における秩序があり、その非日常性と日常のギャップがカタルシスにつながっている。」(丸山さん)
と、ミステリーというジャンルの魅力や奥深さを各々語っていただきました。
ご参加の皆さんより
オーディエンスの方にも途中、アイデアや質問など付箋に書いて寄せていただきました。トピックと登壇の皆さんの発言を抜粋してご紹介します。
本を通じて知識や人との出逢いの機会に
ご登壇いただきました桜井先生・ミステリー研究会の皆さん、ならびにご参加の皆さんに深く感謝申し上げます。
これからも立命館生協では本に触れる機会・本を通じて交流する機会を定期的に実施していきたいと考えています。
ぜひお気軽にご参加いただければと存じます。
-------------------------------
以下、書籍と関連フェアをご紹介します。
本の画像をクリックすると、オンライン書籍注文サイト(HonyaClub.com)に移動します。
■ 桜井政成先生の新刊『 読書スタディーズ』
■ フェア企画のご紹介

『読書スタディーズ』(明石書店・2026年5月刊行)刊行記念トークイベントを実施しました。
著者の立命館大学政策科学部教授 桜井政成先生をお迎えし、ゲストとして立命館大学ミステリー研究会より3名の立命館生の方にもお越しいただきました。新刊の内容も踏まえながら「読書」について語らう週末のひとときとなりました。
桜井先生は主にOICでのご勤務でいらっしゃいますが、今回の会場である当店も衣笠キャンパスにいらした頃に利用くださっていたそうです。
冒頭において「本との出会いはやはり書店でないと、と思う。リアルの場だからこその偶然の出逢い『セレンディピティ』がある」と語ってくださいました。
立命館大学ミステリー研究会 (以下: ミステリー研究会)の皆さまにはこの間展開している、「どんでん返し ミステリー特集」の 選書・POP作成に協力いただいています。
そのご縁もあり今回のトークイベントにも企画段階からご参画いただきました。
冒頭において「本との出会いはやはり書店でないと、と思う。リアルの場だからこその偶然の出逢い『セレンディピティ』がある」と語ってくださいました。
立命館大学ミステリー研究会 (以下: ミステリー研究会)の皆さまにはこの間展開している、「どんでん返し ミステリー特集」の 選書・POP作成に協力いただいています。
そのご縁もあり今回のトークイベントにも企画段階からご参画いただきました。
「本を読んでいる」 とはどういうことか?
折に触れて「本を読まない学生―」といった記事や言説を見聞きすることがあります。
しかしそうした際に「本を読むこと」は何を以て測られているのでしょうか。
桜井先生は「社会人の方で1ヶ月あたり1冊のペースで読めていなかったりする場合も珍しくはないと思う、それもゼロ冊と同じとされてしまっていいのだろうか」 と問題提起します。調査・アンケートにおける設問が、たとえば1日・1週間・1ヶ月といった期間における「頻度(回数)」なのか「量(冊数)」なのか、どちらになるかによっても得られる「実態」に揺らぎは生じると指摘します。
ミステリー研究会の中小路伊織さん からは、「たとえば世論調査における政権の支持率というトピックでもメディアによって違いが出てきたりもしているが、「本を読んでいるか」も尋ね方1つで変わりうるということには頷くところがあった。」とコメントをいただきました。
また、本を読むことを通じ「読書家」としての意識を持つということの直感とは逆に、読書家としてのアイデンティティを持つことによって、本を読むようになるという側面もあるという観点は目から鱗でした。
読書コミュニティのあり方について
ミステリー研究会で代表をつとめる堀江祐成さん からは、新刊について「読書会を開くという立場から、読書コミュニティの意味というところが自分の中で印象に残った。」 と新刊について感想をいただきました。
他大学の団体とも合同読書会を実施することもあるそうですが、「○○と思った」というような感想を出し合うところから先に進める難しさだったり、課題本を設定してしまうと事前の宿題めいたところが出てくることだったりが気にかかるのだそうです。
その問題意識を受けて桜井先生からは、あらかじめ本を読むことを求めないシェアード・リーディングというイギリスなどにおける実践のご紹介をいただきました。単なるコミュニティ・集まりというだけでなく、セラピーの一環としても認知されている取り組みだそうです。
ほか、読書会を盛り上げるアイデアとして「その本に登場するお菓子などを提供する」というアイデアもオーディエンスの方から出てきて、登壇の皆さんの賛同を得ていました。
ミステリー本 の醍醐味とは?
「『本の没頭する要素』、というところで触れられていた内容が、自分の好きなミステリーというジャンルに重なると感じる点が多く。そうだったんだと腹落ちするところがあった」と新刊の感想を述べられたのはミステリー研究会の丸山理音 さん。
桜井先生からは、「読書家の方が長けているのは、本をチョイスする際に自分がどういう気持ちになりたいかという点で選べるということ。その点でミステリーを読みたくなるときというのは、どういう気分になることを意識しているのかミステリー研究会の皆さんにお伺いしたい。」
と問いかけがありました。
「読者に解かせるためのミステリーというジャンルもあり、小学生だった頃と今だと解けるレベルも上がってきていてそこが面白い。またその中にも米澤穂信さんの作品のようなお菓子や学校と絡めた人が死なない作品もある。」(堀江さん)、
「語弊はあるのだが(あくまでフィクションである前提で) 被害者が増えるとテンションが上がるところがある(笑)。ミステリー小説上では現実では起こりえないその作品世界における秩序があり、その非日常性と日常のギャップがカタルシスにつながっている。」(丸山さん)
と、ミステリーというジャンルの魅力や奥深さを各々語っていただきました。
ご参加の皆さんより
オーディエンスの方にも途中、アイデアや質問など付箋に書いて寄せていただきました。トピックと登壇の皆さんの発言を抜粋してご紹介します。
- 「どのような本の読み方をしていますか」 「本を読み進められない困り事 / 全部読み終えられないストレス があります」
「小説でなければ、好きなところから読んでしまっていいのではないか。」
「『読書スタディーズ』内の最終章でも取り上げているが、小説を本で購入しつつサブスクでオーディオブックを聴いている人もいる。また、本とオーディオブックを交互で読み進めるという方法もある。」
「読了できないことがストレスというのは、本を読んでいることには違いないので胸を張りましょう。」(桜井先生)
「自分も本を読めないようなとき、オーディオブックを流しながら本を開くと読めるようになるということがあった。そのことを踏まえると国語であった音読の意義はそこにあったかなという気づきがあった。」(堀江さん)
「読みたい本が多いのに色々考えてしまうというコメントもあったが、そうした複数の本に触れている中でその本同士が連鎖していることがあり内容がすっと入ってくる瞬間、視野が広がる感じがあるように思っていてネガティブに捉えることでもないと思う。」(中小路さん)
「『読書スタディーズ』内の最終章でも取り上げているが、小説を本で購入しつつサブスクでオーディオブックを聴いている人もいる。また、本とオーディオブックを交互で読み進めるという方法もある。」
「読了できないことがストレスというのは、本を読んでいることには違いないので胸を張りましょう。」(桜井先生)
「自分も本を読めないようなとき、オーディオブックを流しながら本を開くと読めるようになるということがあった。そのことを踏まえると国語であった音読の意義はそこにあったかなという気づきがあった。」(堀江さん)
「読みたい本が多いのに色々考えてしまうというコメントもあったが、そうした複数の本に触れている中でその本同士が連鎖していることがあり内容がすっと入ってくる瞬間、視野が広がる感じがあるように思っていてネガティブに捉えることでもないと思う。」(中小路さん)
- 「原書を読むことは大事だと思いますか」
「研究としてのことであれば原著でないと、というところはある。訳書も出ているものであれば並行して読み比べるのも方法の1つではないか。」 (桜井先生)
「コメントを寄せていただいた同じ大学院生という立場で、自分でも悩ましいところはある。それでも原書をずっと読んでいると一単語一単語と格闘している感じがあり面白くなってきている。日本語訳で情報を詰め込んでいくよりも『味わっている』という感覚もありそこに愉しみを見出している。ある意味でミステリーと同じ。」 (丸山さん)
「コメントを寄せていただいた同じ大学院生という立場で、自分でも悩ましいところはある。それでも原書をずっと読んでいると一単語一単語と格闘している感じがあり面白くなってきている。日本語訳で情報を詰め込んでいくよりも『味わっている』という感覚もありそこに愉しみを見出している。ある意味でミステリーと同じ。」 (丸山さん)
本を通じて知識や人との出逢いの機会に
学内のみならず近隣の方のご参加もあり、読書に関心を持つ様々な方が集い・考えを深める1時間となったのではないかと思います。
参加者の方からの感想をご紹介します。
参加者の方からの感想をご紹介します。
- 「本を読まない人に対して本の話はタブーになりつつあると感じています。本についての話が中々できない中、先生とミステリー研究会の方々がおすすめの本や好きな本について語り合っていて、聞いていてとても楽しかったです。読書は趣味なんだなと改めて感じました。」
- 「本日は興味深いお話をありがとうございました。自分は読書会というものをあまり知りませんでしたが、今後する機会があったら今回のイベントで学んだことを活かせるよう頑張りたいと思いました。」
これからも立命館生協では本に触れる機会・本を通じて交流する機会を定期的に実施していきたいと考えています。
ぜひお気軽にご参加いただければと存じます。
-------------------------------
以下、書籍と関連フェアをご紹介します。
本の画像をクリックすると、オンライン書籍注文サイト(HonyaClub.com)に移動します。
■ 桜井政成先生の新刊『 読書スタディーズ』
読書スタディーズ
明石書店
2420円
明石書店
2420円
[BOOKデータベースより]
「働いていると本当に本は読めないの?マウントをとるために本を読む?読書家はなぜ・どうやって本にハマるの?読書家はどのように本を探すの?逃避的な読書は悪いこと?「読む」はもっと自由でいい。
読書にまつわる窮屈な常識をくつがえせ!社会科学の知見でときほぐす入門書。」
オンライン書店HonyaClubからご注文ください。
立命館生協組合員の方は、レジにて10%ポイント還元となります。
又は売掛(校費・私費)伝票ご利用で10%OFFでご購入いただけます。
売掛伝票については ➡ 教職員のみなさまへ
「働いていると本当に本は読めないの?マウントをとるために本を読む?読書家はなぜ・どうやって本にハマるの?読書家はどのように本を探すの?逃避的な読書は悪いこと?「読む」はもっと自由でいい。
読書にまつわる窮屈な常識をくつがえせ!社会科学の知見でときほぐす入門書。」
オンライン書店HonyaClubからご注文ください。
立命館生協組合員の方は、レジにて10%ポイント還元となります。
又は売掛(校費・私費)伝票ご利用で10%OFFでご購入いただけます。
売掛伝票については ➡ 教職員のみなさまへ
ブックセンターふらっとでは、『読書スタディーズ』で紹介されている本・関連書籍フェアを実施中です。
あわせてミステリー研究会の皆さんにも関わっていただいた「どんでん返し ミステリー特集」もあわせて展開中です。(7月下旬まで予定)
ご来店心よりお待ちしております。
あわせてミステリー研究会の皆さんにも関わっていただいた「どんでん返し ミステリー特集」もあわせて展開中です。(7月下旬まで予定)
ご来店心よりお待ちしております。


