2025.07.22

『日本から考えるラテンアメリカとフェミニズム』 トークイベントレポート

2025年7月5日(金)夕方、ブックセンターふらっとにて、『日本から考えるラテンアメリカとフェミニズム』刊行記念トークイベントを行いました。編著者のお一人、立命館大学産業社会学部准教授の柳原恵先生にご登壇いただき、司会には、社会学研究科の満壽居春希さんにご協力いただきました。
暑い中、約10人の学生、教職員のみなさんがお集まりくださいました。


日本から考える
ラテンアメリカとフェミニズム
中南米マガジン 1500円  
 





この本は、2016年からチリに在住されていた柳原先生と、ラテンアメリカ文学の研究者洲崎圭子さん、ラテンアメリカの文化人類学研究者の水口良樹さんとの共同編集で作られました。ラテンアメリカのフェミニズムについて、あまり関心を持たれていない人たちにも考えてもらえる本にしたいという思いから生まれた『日本から考えるラテンアメリカとフェミニズム』  です。


  後進国で危ない国?!というイメージを持たれる南米チリは、実はジェンダーギャップ指数が22位で日本の125位よりもはるかに上位です。新自由主義や家父長制度等による女性の置かれた環境等、日本と社会的な背景が似ている部分があり、学ぶ点があるのではないでしょうか。
 

フェミニズムの津波…日本同様地震と津波の多いチリでは「tsunami」が外来語と定着しています。アウストラル大学の女子大学生が引き起こしたセクハラへの抗議活動から始まったフェミニズム運動がチリ大学、保守的なカトリカ大学にも広がりました。

2018年はチリではフェミニズムの年と呼ばれています。

これらの運動の成果として、セクハラのガイドラインができたり、加害者である教員が追放されたりしました。このチリのフェミニズムの津波は、チリ1国にとどまらず#MeToo運動等とも連動していきました。

 


  

 


日本から考える

日本もチリも同じ家父長制なのに運動の広がりが違う。違いは何か?

チリでのフェミニズム運動は身近でお祭り騒ぎのように気軽に参加できる。男性の参加も当たり前のようにある。日本では、運動に参加することで就職できなくなるんじゃないかといった不安があるかもしれないですね。

 低賃金のケア労働が女性に割り当てられる、妊娠可能性があることが「リスク」とみなされる、男女間の賃金やもらえる年金額に格差がある等、女性の生活が不安定化している状況は、日本でも共通しています。
 

フェミニズムは一つではなく、いろいろあります。「クイア」いわゆる性的マイノリティへの差別等、連帯して闘っていくことができます。

ラテンアメリカが日本の裏側で起こっている別世界の問題ではなく、私たちと似たような状況が、異なる歴史や文化を背景に起こっていると考え連帯していくことができるのではないでしょうか。
 

柳原先生、司会の満壽居さん、そして参加のみなさん、ありがとうございました。

 

代替文字
 

同時開催関連ブックフェア

柳原先生はじめ、3人の編者の方に関連図書を選書していただきました!


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立命館生協組合員の方は、レジにて10%ポイント還元となります。
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■柳原恵先生お勧めの本

    • <化外>の
      フェミニズム
      柳原恵著
      ドメス出版
      3960円
    • 現代社会を拓く
      教養知の探究
      教養教育研究会著
      晃洋書房 
      3080円
    • ジェンダー分析で学ぶ女性史入門
      岩波書店
      2860円

     
    • アルゼンチン正義を求める闘いとその記録
      「戦争と性」編集室
    • 国境を越えるラテンアメリカの女性たち
      松久玲子著
      晃洋書房
      2750円
    • ラテンアメリカ21世紀の社会と女性
      国本伊代著
      新評論
      4180円

    • ラテンアメリカと国際人権レジーム
      宇佐美耕一著他
      晃洋書房
      2970円

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■州崎圭子さんのお勧めの本

    • 予告された殺人の記録
      ガルシア・マルケス著
      新潮文庫
      649円

    • 蜘蛛女のキス改訂新版
      集英社文庫
      マヌエル・プイグ著
      1210円
    • 狂人の船
      松籟社
      クリスティーナ・ペリ=ロッシ著
      2200円

     
    • ハリケーンの季節
      フェルナンダ・メルチョール著
      早川書房
      3410円
    • 救出の距離
      サマンタ・シュウェブリン著
      国書刊行会
      3300円
    • 《産まない女》に夜明けはこない
      州崎圭子著
      世織書房
      4180円

     
 

 ■水口良樹さんのお勧めの本
    • 子どもと共に生きる
      A・クシアノヴ著
      現代企画室
      3080円
    • 私たちの進む道
      タニヤ・タラガ著
      青土社
      2640円
    • 悪なき大地
      ベアトリス・バラシオス著
      現代企画室
      1320円

     
    • 闘争のアサンブレア
      廣瀬純著他
      月曜社
      2420円
    • 新空位時代の政治哲学
      廣瀬純著
      共和国
      3850円
    • 私が諸島である
      中村達著
      書肆侃侃房
      2530円

     
    • メキシコ先住民女性の夜明け
      ギオマル・ロビラ著
      日本経済評論社
      2970円
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