立命館大学生存学研究所特別招聘准教授の川端美季先生による新刊『風呂と愛国』(2024年10月刊 NHK出版)をご紹介いただきました。ゲストに関西大学文学部(文化共生学専修)教授の森貴史先生をお呼びし、森先生の『ドイツの自然療法』についてのお話も交えながら、対談していただきました。
24年春頃「風呂キャンセル界隈」というワードが流行って、「お風呂に入るのが面倒くさい」「疲れているので今日は風呂をキャンセルしたい」という人たちがたくさんいることが共有され、風呂に入ることは体力を使うし、入った後もドライヤーや乳液等のケアが必要で疲れるのだ、ということが一般化されました。これはよかったのではないか、と先生方はおっしゃいます。では、どうして風呂に入るのが当たり前だと思うのか?その<日本人らしさ>や<日本人の国民性>がどこから来たのか?ということについて考えているのがこの本です。
第7章「世のため国のため」では、国定修身教科書の中の清潔規範について述べられています。沖縄県の学校風呂についての紹介がありました。この写真は、川端先生が「やったー!見つけた!」と叫ぶような貴重な資料で、一見の価値があります。
入浴習慣は国民道徳論によって「日本国民の清潔さ」の指標とされたのです。
森先生からは、患部に水をかけて治癒力を高める水治療をはじめとする自然療法の歴史や文化、クナイプの温泉保養地についてお話しいただきました。それらが信頼された背景には、高額な医療を受けられない人達にとって治療費が安価であったことや、地理的な条件で都市部に集中した医師が、農村部で不足していたこと等があったとのことです。
また、ヤマザキマリさんの『テルマエロマエ』の紹介もありました。
会場からは
・スーパー銭湯はアミューズメントなのか?
・台湾の昭和天皇が入浴した北投(ベイトウ)「瀧乃湯」について
・温泉病院はどうやって広まったか?
・クナイプの温泉施設はどのような場所で発展したか
等々、活発な質疑がされました。
終始和やかな雰囲気で、時折笑いが巻き起こる楽しいイベントとなりました。
川端先生、森先生、ありがとうございました。
以下、先生方の本を紹介します。本の画像をクリックすると、オンライン書籍注文サイトHonyaClub.comに移動します。
■川端美季先生の本
■ご紹介いただいた本
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